本稿の目的は,数学的概念の拡張における定義活動を事例として,課題設計原理の開発の実際を示すことである.この目的の達成にあたり,多角形の外角及び四捨五入する関数を題材として,学習目標を設定したうえで既存の課題から当初の課題を設計した後に,学習目標の修正,課題設計原理の導出,課題の再設計,課題の実践と分析に取り組んだという一連の過程を示した.これらの過程の振り返りを通して,課題設計原理は学習目標を達成するために必要な課題群の特徴を示しており,学習目標の達成や新たな論点の獲得に役立ち得ることを確認した.以上より,学習目標の達成にあたっては,課題設計原理を意識した課題設計が重要であることが示唆された.