本研究の目的は,フロアバレーボールを活用した運動教材を用いて,視覚障害のない中学生に対して授業実践を行い,体育における共生のイメージにどのような影響があるかについて検討することである。
フロアバレーボールを受講した中学生に対して,単元前,単元中盤,単元後の記述データを収集した。データの分析は,KJ法のグルーピング手法を用いた。
結果は(1)単元前から単元中盤にかけて,中学生の体育における共生のイメージの中心的な内容に学習者同士が高め合う関係や行為が確認できた。さらに,単元中盤において,中学生の記述から得られた事例は,学習者同士が高め合う関係や行為により数が集まった。また,(2)単元中盤では,中学生が相互理解の必要性を実感している様子が確認できた。加えて,(3)単元後では新たな多様な共生のイメージが見出されたことが確認できた。そして,(4)公正に関しても共生のイメージに含まれていることが示唆された。