本研究は,小学校高学年の児童を対象にディスクを用いた空間の活用に関するゴール型の学習を行い,その効果をゲームパフォーマンスの観点から明らかにすることを目的とした。方法はゲーム中の動きを評価する評価基準を作成し,ゲームパフォーマンスに関する調査を行った。結果は以下の通りである。
1)ゲーム中の意思決定は,向上が確認された。
2)技能発揮は,成功率の向上が確認された。とりわけ,シュート場面における空間プレーの技能発揮は,投げ手で7割以上,受け手で9割以上と高い成功率が確認された。
3)空間プレーは,1時間目のゲームから投げ手が意図しない空間プレーが確認された。また,試行数と出現率の増加が確認された。
4)空間パスの試行位置は,フロントコートから行われた空間パスが増加した。
5)成功した空間プレーは,投げ手と受け手のコンビネーションによる空間プレーの成功が増加した。
本実践においては,ディスクの滞空時間の長さや特殊な動き方をするという教具の特性を基盤としながら,ドリル・タスク教材の継続的な実施,学習内容に対応した授業者からの指導といった工夫によって児童が成功体験を蓄積することで,空間の活用に関するゲームパフォーマンスの向上に効果がある可能性が示唆された。
一連の研究を通して,フライングディスクを用いたゴール型の学習は,空間の活用を含むゲームパフォーマンスの向上に効果がある可能性が示唆された。