本研究の目的は,小学校6年生の保健領域「喫煙,飲酒,薬物乱用と健康」を対象として,子どもの保健授業への愛好的態度を高めるとともに知識の定着を企図した学習過程を検討し,その効果を検証することである。本実践は,静岡県内7小学校8学級6年生計122名を対象に,3時間構成の同じ学習課程から成る授業をそれぞれ行った。効果を検証するために2種類の質問紙調査(学習過程評価票と保健学習に対する質問紙調査)とワークシートの自由記述を用いて,データの収集及び分析を行った。研究の結果,以下のようなことが明らかになった。
1)毎時間後の質問紙調査の結果,認識の項目が3時間とも最も高い結果であった。
2)単元前後の質問紙調査の結果,感情面や期待面においても大きな成果がみられた。
3)毎時間後のワークシートの自由記述の分析から,子どもの決意や態度と学習面を踏まえた記述が見られており,知識の定着につながった。
以上のような結果から,本研究で試みた学習過程の工夫は,一定の成果が得られた。