「適切な名誉心」と市民としての勇気―アリストテレス倫理学における無名称の徳の意義(査読付)
西洋古典学研究、第61号、48-59頁
本論文では、アリストテレス『ニコマコス倫理学』における「適切な名誉心」の内実と、それが『エウデモス倫理学』では論じられなかった理由を明らかにした。まず、アリストテレス倫理学における名誉の位置づけを確認したうえで、名誉に関わる徳として「心の壮大さ」と「適切な名誉心」の含意を明確にして、「適切な名誉心」は、有徳な人にとってというよりも、むしろポリスを守る市民にとって勇気に結びつくという意味で必要不可欠な徳と結論付けた。
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