この「菊間のお供馬(その1~3)」は、いずれも平成8年度日本体育学会スポーツ人類学専門分科会補助金交付研究(愛媛県菊間町における「お供馬」の研究、研究代表者:石井浩一)の研究成果を纏めたものである。「お供馬」は、愛媛県越智郡菊間町加茂神社で毎年10月9,10日に催される菊間祭を構成する祭事の一つで、京都賀茂別雷神社(上賀茂神社)の「競べ馬」の流れを汲んでいると言われている。そこで、(その1)では、菊間の「お供馬」と京都(上賀茂神社)の「競べ馬」とがどのような関係にあるのか、平安時代から鎌倉時代にかけて菊間町(当時は菊間庄という荘園地であった)が、賀茂競馬(於:京都上賀茂神社)運営のための競馬料(全国20カ所)の一つとして選定されていたという史実を手掛かりに明らかにされている。ついで、(その2)では、「お供馬」が行われる菊間祭の全容が概観されるとともに、この菊間祭の組織(運営)基盤を明らかにするために、加茂神社(菊間町)の氏子圏が今日の行政区分に従って確認されている。さらに、(その3)では、菊間祭のなかの「お供馬」行事を支える(運営する)組織(団体)が明らかにされ、これらの組織(団体)間で、どのように資金が調達され、行事が運営されているのかについて詳述されている。