本稿は、「スポーツを楽しく観るために」という連載テーマの基に、「スポーツ映画」、とりわけ「オリンピック公式記録映画」に照準を定め、なかでも、1936年の第11回ベルリン大会を素材にした「オリンピアⅠ・Ⅱ」(「民族の祭典」「美の祭典」)と1964年に東京で開催された第18回大会の様子を収めた「東京オリンピック」の2作品が取り上げられ、詳述されている。単なる記録映画ではなく、当該の作品が制作・公開された当時の社会状況などについても理解することができ、時代を映し出す鏡(貴重な映像史料)としての役割を担っていたことも推察されている。