本稿は、「スポーツを楽しく観るために」という連載テーマの基に、世界各地で行われている珍しい長距離競走が取り上げられている。とりわけ、今日世界で盛んに行われている100km超を走破するウルトラマラソンや南北アメリカ大陸の先住民たちの間で頑なに守られてきた伝統的長距離競走が紹介されている。南米大陸ブラジルでは、100kgを超える丸太をバトンの代わりに用いるバトンリレー(丸太担ぎ競走)が行われ、これが一人前の男性として認めてもらうための重要な訓練(成年式)に位置づけられているとされている。また、北米大陸のメキシコ山岳先住民の間では、2つのチームがそれぞれの木球(1個)を蹴りつなぐ競走の様子が明らかにされている。当該社会(民族)における長距離競走の意味(機能)が詳述されている。