】本研究は、女性アスリートにおける月経周期及びビタミン D 受容体(VDR)遺伝子 Bsm1 多型と骨密 度(BMD)との関係性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は、8 競技種目に所属する女性アスリー ト 100 名(年齢 19.9±0.7 歳)であった。対象者には 6 か月間に渡る月経周期のモニタリングを実施し、得られ た周期のうち最も長い周期が 39 日以上であった群を月経周期異常群(MA)、 25~38 日までを正常月経周期群 (MN)とした。BMD は、二重 X 線吸収測定法により全身、腰椎 L2-4 及び大腿骨頸部を測定した。VDR 遺伝 子 Bsm1 多型は PCR-RFLP 法にて解析した。【結果】MA は MN と比較して、腰椎 BMD において有意に低い 値を示した。体組成は、MA が MN よりも体重、BMI、体脂肪率、脂肪量、非脂肪量において有意に低い値を示 し、月経周期要因と関連が認められたが、VDR 遺伝子 Bsm1 多型とは関連しなかった。腰椎 BMD において、 MN の内、VDR 遺伝子 Bsm1 多型 Bb 型は bb 型よりも有意に高く、Bb 型の内、MA は MN よりも有意に低い 値を示した。【結論】女性アスリートにおける月経周期の異常は、骨量の維持に悪影響を与える可能性が考えら れ、特に VDR 遺伝子 Bsm1 多型 Bb 型の発現を有する女性アスリートの場合においては、月経周期異常が腰椎 BMD 低下と関連する可能性が示唆された。