本研究は,レスリング競技における日本トップレベ ルの軽量級選手を対象に,フリースタイルとグレコロ ーマンスタイルの身体的能力にどのような差異がある のかについて比較・検討することを目的とした.被 検者は,N大学レスリング部に所属する10名で,フ リースタイルを専門とする選手5名(以下FS群),グ レコローマンスタイルを専門とする選手5名(以下 GS群5名)を対象に,身体的特徴(身長,体重,指 極,胸囲,腹囲,体脂肪率,除脂肪体重),体力測定 (垂直跳び,長座体前屈,反応時間,ロープ登りテス ト,腹筋テスト),1RMテスト(ハイクリーン,ベンチ・ プレス,スクワット),等尺性最大筋力(握力,背筋 力,体幹部および肘,膝の伸展・屈曲),等速性筋力 (体幹部,肘および膝の伸展・屈曲),ミドルパワーお よびハイパワーの測定をそれぞれ行った研究論文でる。,レスリング競技のフリースタイル とグレコローマンスタイルにおける軽量級選手は,基礎的な体力測定項目において全般的にグレコローマン スタイル選手がフリースタイル選手に比べて劣ってい ることが確認された.さらに,軽量級選手において(特 にグレコローマンスタイル選手),より高い競技パフ ォーマンスを向上させ,世界に通用する選手育成のた めには,両スタイルの戦術的な実践面のトレーニング に限らず,基礎体力においてもスタイルに特化したト レーニング方法を確立する必要性が示唆された.