大学女子駅伝選手における年間を通じた月経時のヘモグロビン値変動に関する検討(査読付)
日本体育大学紀要 第47巻2号
正常な月経を有する大学女子駅伝選手における年間を通じた月経周期時のヘモグロビン値の変動について検討することを目的とした。被検者は、駅伝を専門とする長距離女子選手4名と、運動経験のない一般女性5名であった。ヘモグロビン(Hb)の測定は、毎日の起床時と就寝前に実施した。Hbの測定には簡易的ヘモグロビンモニタリング測定装置(シスメック社製)を用いた。尚、各被検者の月経期及び月経前後のデータは、毎月の月経開始から終了までと、その前後のそれぞれ5日間の平均値を採用した。長距離選手群及び一般女性群の両群で、月経前後に比べて月経期が有意に低いHb値を示した(それぞれp <0.05)。 さらに、月経期(11.8±0.9g / dL:世界保健機関によって規制された基準値より低い)の長距離選手群のHb値は、一般女性群(13.5±0.9g / dL)よりも特に低かった。以上の結果より、女性は月経期間中、特に長距離選手においては健康管理及び日常練習の調整に注意する必要があることが示唆された。
黄 仁官, 別府 健至, 佐藤 洋平, 小林 哲郎, 上田 大, 金 善淑, 大西 崇仁, 松永 修司, 保科 光作, 久保山 和彦
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