本研究は、上肢反応時間に対する下肢反応時間の延長および体力的要素とADLスコアとの関連性に着目することで転倒経験を有する女性高齢者の体力要素と主観的ADLスコアの特徴を検討することを目的とした。対象者とした90名の高齢女性は、過去一年間の転倒経験に関するアンケートによって転倒群24名、非転倒群66名に分類した。測定項目は、握力、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、足底屈筋力、膝伸展筋力、座位式背筋力、反応時間およびADLテストであった。
以上の方法により得られた結果についてみると、転倒経験を有する女性高齢者では転倒経験のない人と比べて、上肢を用いた反応時間に対する下肢の反応時間がより延長することが認められ、さらに、主観的ADLスコアと体力的要素との間に関連性が認められないという特徴が確認された。