本研究では、日本人選手においてオリンピックや国際大会で優秀な成績を収めているレスリング競技に着目し、レスリング競技選手の競技能力および身体能力がACTN3遺伝子多型とどのような関連性があるのかについて検討することを目的とした。被検者は、レスリング競技を専門とする大学男子選手62名およびOBである現役男子選手の8名の計70名(オリンピック選手4名を含む)であった。全被検者を対象に、ACTN3遺伝子多型(RR、RX、XX)の検査と体力測定(握力、背筋力、30秒間上体起こし、垂直跳び、ミドルパワー)を実施した。以上の結果、本研究にみられたACTN3遺伝子多型の発現頻度から、レスリング競技において高い身体能力を保持し、さらに高い競技パフォーマンスを示すのはRアリルを有する選手、中でもRR型を有する競技者が有利になる可能性が高いことが示唆された。