本調査では、駅伝を専門とする女子長距離選手(駅伝チームの選抜選手)を対象に年間を通して体温と月経(生理)の有無及びヘモグロビン値(簡易的なヘモグロビン測定装置)を計測し、選抜選手全体から毎月月経が確認された選手4名と、運動経験のない一般女性5名(3ヶ月間のデータ)を対象に、月経時及び月経前・後のヘモグロビン値の変動について比較を行い、女性アスリートの月経時におけるトレーニング量や質の調整の必要性について検討することを目的とした。結果から、貧血の基準値以上ではあるが、一般女性においても月経時にはHb値の減少があり、その減少は月経期間が長くなることによる過多月経による可能性が考えられる。一方、女子駅伝選手では、月経前後においても貧血基準値以上とは言え一般女性と比べて低値を示し、さらに月経周期においてはHb値の有意な減少が認められ、貧血の基準値以下となる結果が示された。従って、女子駅伝選手を含む女子長距離ランナーにおいては、特に月経周期(生理時)の体調管理と運動・トレーニングの量と質を考慮した練習内容の調整が必要である可能性が示唆された。