目的】本研究では、女子長距離選手を対象に長期にわたって日常の主観的要素と身体的要素の変動をモニタリングし、その結果から女子長距離選手のコンディショニングの指標づくりを試みた。【方法】大学の陸上競技部に所属し、駅伝を専門とする女子長距離選手8名を対象に、日頃の練習量(走行距離)を始め、身体組成(InBody430)、Hb(モニタリング装置・シスメック社製)、月経有無、怪我の部位・程度、調査期間内のレース結果、主観性調査(睡眠時間、食欲、疲労度、練習満足度等)を項目によっては毎日・毎週に分けて調査・チェックし、対象者全体及び個別に検討した。【結果】[1]3月の値をゼロとしてそれ以後7月までの走行距離・体重・Hb値の変動率では、走行距離が27%増加すると、体重は2.4%~4.9%の減少とHb値においては6.7%~10.9%の減少を示すことが確認された。[2]各対象者の試合出場とベスト記録を示した時期をみると、ベスト記録の有った対象者では走行距離が少なく、Hb値及び体重の減少が無いか少ない時期であることが確認された。[3]月経の有った対象者の共通点をみると、走行距離・体重・Hb値の高低に関わらず、レース記録は良くなかった。[4]簡易的なHbモニタリング装置による日頃の測定は、長距離の場合では少なからず運動量の上昇期における各選手のオーバートレーニングの確認に繋がる可能性が確認された。