高齢者の転倒予防として近年、足指の筋機能が注目されてきている。高齢者の転倒については、起立歩行に関するバランス機能を強化することが重要であると考えられ、動的バランス機能の強化が特に必要であるといわれている。動的バランスに関しては、下肢筋力や歩行機能が動的バランスに影響を与える因子であることが報告されている(代ら、2009)。また、平衡機能評価として用いられている開眼片足立ち保持時間が30秒以上の者とそれ以下の者では、前者の方が足指筋力や大腿四頭筋筋力、最大歩行速度が高いとする報告(宮崎ら、2010)があり、バランス能力は下肢筋力や歩行能力の強化が重要であることが考えられる。
そこで本研究では、健常な一般学生やアスリートに対して高齢者は、足指筋力、歩行能力および重心動揺性にどのような特徴を有するかを比較検討し、高齢者の転倒予防に繋がる基礎データを得ることを目的として検討したものである。