本研究では、水球競技を専門とする代表級選手(n=5、以下NG)と大学級選手(n=7、以下CG)を対象に競技能力の違いによる基礎体力的能力及び最大泳能力と、その時の血中乳酸濃度をとの関連性を検討し、水球競技選手における体力的側面の特異性を明かにすることを目的とした。『方法』基礎体力測定項目を6項目、ミドルパワー測定に(パワーマックスVⅡ)を、身体組成測定にはInBody430、血中乳酸濃度測定にはBIOSEN C-lineをそれぞれ用いた。『結果』①6項目の基礎体力やミドルパワーはNGがCGに比べて有意に高い値を示した。②25mと50mの最大泳速度の低下率は、いずれも4セットと5セット目にCGがNGに比べて有意な低下率を示した。③50mの最大泳直後の血中乳酸濃度では、4セットと5セット修了時においてNGはCGに比べて有意に高い血中乳酸値を示した。④対象者全体の50m最大泳スピードとセット毎の血中乳酸値の相関関係では、3セット以後いずれも有意に高い負の相関関係が認められ、r値が5セット>4セット>3セット順に高かった。『結論』NGとCG間では、競技歴や体格、体組成等の要素には殆ど差がみられなかったのに対して基礎体力的要素では代表級選手が殆どの項目で優れていた。さらに、血中乳酸濃度が上昇する中、最大運動を繰り返す能力もNGはCGに比べて優れていることが明らかになった。従って、スキル面でもその能力が高いと予想される代表級選手は基礎体力のみならず、パワーやその維持能力においても優れており、本研究の結果は水球競技能力を高めるための一つの指標として利用できる可能性が示唆された。