温熱療法は、古典的な物理療法として整形外科を中心に広く利用されている。しかし、温熱刺激の効果を裏付ける生物医学的な根拠は必ずしも明らかではない。これらの状況により、温熱療法の適応可能範囲の見誤りや新しい適応症の可能性を見逃す可能性が懸念される。我々は、温熱療法の生物医学的な根拠を提供するために、温熱刺激が骨格筋の分子適応をこれまでに検討してきた。特に温熱刺激が骨格筋のミトコンドリア生合成を促進し、酸化的代謝能力を向上させることや、その分子機序を明らかにしてきた。本講演では、我々が得た研究成果および直面した課題、課題解決のための取り組みなどを紹介し、参加者との議論を深めたい。