(全体概要)
子どもの権利条約の国連採択から20年、権利実現の努力を検証し、今後の課題を提起する。家族機能の弱体化、加熱する早期教育・受験競争などによる、体罰・虐待、いじめ、非行・少年事件など、子どもをめぐる日本と韓国の問題状況は、きわめて類似している。6年間にわたる日韓比較研究の成果による画期的ドキュメントである。
(担当部分)
「日本における子どもの権利救済制度」
はじめに、日本の相談・救済制度の現状を把握するため、国レベル、自治体レベル、学校レベル、民間レベルでの設置の背景や取り組みなどについて概括した。次に、子どもの特性に配慮した相談・救済活動、「子どもに寄り添う」という視点、子どもにやさしいまちづくりという視点から子ども固有の相談・救済制度の特質と役割・意義について討究した。最後に、子どもの相談・救済システムの共通項は、第1に子どもの声をじっくり聴く姿勢をもつこと、第2に子どもに寄り添い子どものエンパワメントをはかること、第3にそれぞれの状況に応じて救済・回復というアプローチをはかること、第4に社会から(特に子どもから)信頼されるシステムであることとしたうえで、それぞれの制度の特質と日本における子どもの相談・救済制度の課題を提示した。