近年さまざまな自治体が子ども施策の一環として、条例で子どもオンブズの設置を進めている。そうした制度の運用を保障するためのキーワードとしてよく取り上げられるのが、「第三者性」である。しかし、第三者性の概念に関する議論は散発的に行われはじめているものの、法構造をふまえた体系的な整理はいまだなされていない。そこで、筆者は「日本教育制度学会第10回大会自由研究発表」(2002(平成14)年11月、於:筑波大学)および「フォーラム子どもの権利研究2003 世界と日本の子どもの権利救済制度」(2003(平成15)年3月、於:早稲田大学)において当該問題の整理の重要性を提起した。
そこで、本稿では、上記発表における議論をふまえ、①第三者性の概念を整理し、②第三者性から導かれる公正の原理について考察し、③子どもオンブズの日本における先駆的事例である川西市子どもの人権オンブズパーソン制度と世界ではじめて公的に設置されたノルウェーにおける子どもオンブズ制度(Barneombudet)を手がかりとして、どのようにこれらを担保しているのか法的構造を整理することにより明らかにし、今後の子どもオンブズ制度研究における分析枠組みの一方向性を提示することを目的とした。