知の冒険―イギリス・ロマン派文学を読み解く
音羽書房鶴見書店
メアリ・ウルストンクラフトの未完の小説『女性の虐待、またはマライア』は、横暴な夫によって精神病院に監禁された主人公マライアの物語である。イギリスの精神病院はベドラムのように狂人を収容した見世物小屋のような扱いをされた歴史があるが、18世紀末には社会的理由で人間を拘束する場としての意味を持つようになる。これを『女性の虐待』の考察に当てはめると、ウルストンクラフトの思想とこの小説のゴシック・ロマンス的雰囲気との関係が明らかになる。
「『女性の虐待、またはマライア』における精神病院」p. 190~p. 205.