メアリ・シェリー小説論―男性英雄像の破壊、廃墟化、及び英雄に代わる女性像―
早稲田大学出版部
メアリ・シェリーの前期作品はて男性詩人によって担われていたロマン主義文学を批判して廃墟を現出させる。批判を完遂させた後のメアリは男性的な英雄像、特にプロメテウス的な英雄像に代わり、新たに女性像の提示を試みる。ここで提示される女性像は、男性的英雄像の批判の上に成立しているが、男性に代わる権力者として君臨するわけではない。むしろ、既存の社会的枠組みの中で、男性と女性とが共存していく社会を提示している。博士論文に加筆修正を施した。
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