「現代のプロメテウス」の背景:バイロン、パーシーとメアリ・シェリーのプロメテウス像(査読付)
早稲田大学大学院教育学研究科『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊』第17号―1
メアリ・シェリーが『フランケンシュタイン』の副題に「現代のプロメテウス」という言葉を打ち出した際、同時代の詩人達による英雄としてのプロメテウス像が存在していたことは、敏感に感じていたはずだ。その中で敢えて英雄ではなく敗北者に他ならないヴィクターに対し、「現代のプロメテウス」の名を冠したことは極めて警告的だ。メアリはロマン主義文学におけるプロメテウス礼賛の風潮の中にあって、それと異なる独自の立場を打ち出した。
p.307~p.318