父娘の愛と父息子の憎しみ合い:『フォークナー』のヒロイン形成における諸問題(査読付)
早稲田大学大学院教育学研究科『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊』第16号―2
メアリ・シェリー最後の小説『フォークナー』において、孤児のエリザベスが養父フォークナーの生命を常に救う存在であることは重要だ。主人公はフォークナーだが、彼の生命は常にエリザベスによって左右される。『フォークナー』に登場する女性は、当時のごく一般的規範に沿った行動を取る。ただし、時代的規範に沿った女性像を提示しながらも、女性には男性に対する強い影響力が与えられており、メアリの後期作品を特徴付ける新たな女性像が提示されている。
p.261~p.272