『最後の人間』におけるメタ廃墟:ロマン主義時代における廃墟表象の一発展形(査読付)
早稲田大学大学院教育学研究科『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊』第16号―1
『最後の人間』は一種のモデル小説であり、メアリと周辺詩人との交流や彼らに対する複雑な心境を表すものとして捉えることができる。しかし、それ以上に『最後の人間』はロマン派文学の一つの特徴である廃墟表象に独自の立場を打ち出している。これは廃墟を描いた詩人、時代さえも葬るメタ廃墟なのだ。ここまで完全孤独な廃墟はこの時代類を見ないものであり、『最後の人間』の作品的価値として強調し過ぎることはない。
p.261~p.272