廃墟としてのテクスト――『フランケンシュタイン』の断片的語りへの系譜(査読付)
早稲田大学大学院教育学研究科『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊』第15号―1
ゴシック小説において特徴的な語りの枠構造は、時代と共にその意義を変える。読者の日常世界と隔たった中世世界を描く物語の断片を再構成し、読者へ提供する重層的語りは、ロマン主義時代の断片としての文学作品という特徴へとつながっていく。これを示しているのが『フランケンシュタイン』である。『フランケンシュタイン』は、ウォルポールやリーヴのように断片を再構成して完成品とせず、開かれた結末を付けており、そこには斬新なロマン主義的特徴がある。
p.239~p.249