メアリー・シェリーと錬金術――『寿限有の寿限無』試論――(査読付)
早稲田大学大学院教育学研究科『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊』第14号―2
メアリー・シェリーの作品にはたびたび錬金術への言及がある。有名な例は『フランケンシュタイン』であるが、それ以上に大々的に錬金術をテーマにしたのが「寿限有の寿限無」である。彼女は錬金術の知識をゴドウィンやパーシーから仕入れ、それを作品へ投影した。しかし、メアリーは錬金術の実践を評価せず、むしろ、その実践によって悲劇が引き起こされることを『フランケンシュタイン』や「寿限有の寿限無」で主張している。
p.251~p.261