ストックホルム症候群によるパミラの精神的変容(査読付)
早稲田大学英語英文学会『英語英文学叢誌』第36号
サミュエル・リチャードソンの『パミラ』が紹介される時、精神的変容を遂げた者として強調されるのは、パミラの貞淑に感動したミスターBであるが、パミラ自身もこの物語を通して精神的変化を遂げている。ミスターBの屋敷で密室監禁状態にあったパミラは、心理学でいうストックホルム症候群にかかり、主人に対し半ば強制的に愛情を育まされている。18世紀中産階級の美徳意識を投影した物語の影にはこのように危険な心理状態が含まれている。
p.23~p.36