改定版が生み出す『フランケンシュタイン』の新たな解釈(査読付)
早稲田大学大学院教育学研究科『早稲田大学大学院教育学研究科紀要 別冊』第13号―1
1831年の改訂版『フランケンシュタイン』の作者による序文には、行われた改訂は主に文体的な些細なものであると書かれている。だが、実際の改訂は決して些細なものではない。フランケンシュタインの結婚相手のエリザベスが、従妹から血のつながりの無い別人へと変えられたところには、ロマン主義文学が持つ近親相姦への憧憬からの離脱が見られる。また、改訂版にはモラルを重視する文章が挿入され、危険な野望に対する警告という性質が強い。
p.339~p.349