ゴシックの悪漢としての「ピサロ」――『ペルーのスペイン人』の歴史的背景(査読付)
日本体育大学『日本体育大学紀要』第48巻第1号
ドイツの劇作家コツェブーは、ロマン派詩人には批判されたが、彼の悲劇『ペルーのスペイン人、またはロラの死』(1796)は大人気を博した。残虐なスペイン人征服者ピサロは悪漢のように描かれ、またカトリック国家スペインに対する批判的視点など、ゴシック・ロマンスと比較すべき特徴が見られる。さらに、残酷なペルー征服を告発する本作の人気の背景には、当時のイギリスにおける反奴隷制論争や博愛主義運動の高まりがあるものと考えられる。
p.25~p.37.