ゴシック小説的手法による家父長制批判――The Wrongs of Woman, or Maria再考
立教大学文学部英米文学科『立教レヴュー』第32号
メアリ・ウルストンクラフトの『女性の不正、或いはマライア』はウィリアム・ゴドウィンの『ケイレブ・ウィリアムズ』のように、社会派ゴシック小説である。この作品はゴシック小説の手法を用いて、18世紀末の家父長制に苦しめられていた女性を描いている。そして、超自然的な存在に代わって強大な力を持った男性権力者が恐怖を喚起する元となっている。男性中心社会は悪魔的、暴君的なものとして表象され、男性中心社会の不正に対する批判を読者に呼び起こす。
p.13~p.27