『フランケンシュタイン』と錬金術的科学――ロマン主義的野望の危険な側面――
立教大学文学部英米文学科『英米文学』第63号
『フランケンシュタイン』は、しばしば暴走する現代科学の姿を重ねあわされる。しかし、フランケンシュタインの科学は彼の少年時代における錬金術の著作の愛読から生まれている。死者を蘇生するという考えは錬金術の思想と関連しており、錬金術の観点からこの作品を考察することが必要なのだ。さらに、錬金術との考察から、作品の副題である「現代のプロメテウス」や引用されているコウルリッジの「老水夫行」へと考察は進められる。
p.151~p.179