「ゴブリン・マーケット」におけるセクシュアリティと暴力(査読付)
早稲田大学英語英文学会『英語英文学叢誌』第43号
熱心なクリスチャンであったクリスティーナ・ロセッティの作品は宗教的見地から解釈されることが多かった。童話的作風の「ゴブリン・マーケット」もその例だが、セクシュアリティにまつわる当時の社会問題も映し出している。執筆当時のイギリスでは、少女に対する性暴力被害の件数が多く、高まる社会純化運動の中で問題視されていた。暴力を受けて「堕落」の烙印を押される少女の恐怖は、この詩において妖魔に狼藉される少女に投影されている。
p.31~p.45