武井博美著『ゴシックロマンスとその行方――建築と空間の表象』
早稲田大学英語英文学会『英語英文学叢誌』第41号
書評。ゴシック建築やゴシックロマンスの研究は古くからあったが、両者の関係を統合的に論じた著作は少なかった。武井の論考はこの問題に一つの解決を与えるものであり、ゴシック建築の様式がいかにして文学作品に影響を与え、その中で活用されているか、その一端を明らかにする。特に『オトラント城』の章は、同作品の水平方向の移動と垂直方向の移動に注目することで、俗世界と聖なる世界それぞれへの志向性を明らかにしている。
p.83~p.85