メアリ・シェリーはカノン作家か:メアリ・シェリー研究30年史
日本シェリー研究センター第20回大会シンポージアム「両シェリーの研究動向――過去30年・現在・今後」(於東京大学)
30年近くに及ぶメアリ・シェリー研究史において、彼女は『フランケンシュタイン』のだけの作家ではなく、包括的視点から研究することが目標とされた。だが、いまだに『フランケンシュタイン』以外の作品は評価が低い。これまでの批評史を批判的に紐解いてみると、そこにはフェミニズム批評のバイアスがあることが分かる。つまり、シェリーの後期作品を特徴付ける保守性がフェミニズム批評からは評価しづらいのである。