廃墟のテクストとテクストの廃墟――『最後の人間』におけるシビラの葉
日本英文学会第81回大会(於東京大学)
『最後の人間』は重要な廃墟表象だ。そこには疫病によって人類が滅亡した21世紀の廃墟が登場し、さらにこの小説全体は「シビルの葉」に書かれた預言の断片を再構成したものだと説明される。見る者の想いを過去へと向かわせる廃墟が未来に設定されている時点でロマン主義の廃墟表象を裏返し、ロマン主義の終焉を示している。さらに、シビルの葉の再構成という手段により、語りそのものと、語られる双方が廃墟であることが示される。