廃墟としてのテクスト――『フランケンシュタイン』の断片的語りへの系譜
日本シェリー研究センター第15回大会シンポージアム「Contemporary Reading of Frankenstein――『フランケンシュタイン』研究の現在」(於東京大学)
ゴシック小説において特徴的な語りの枠構造は、時代と共にその意義を変える。読者の日常世界と隔たった中世世界を描く物語の断片を再構成し、読者へ提供する重層的語りは、ロマン主義時代の断片としての文学作品という特徴へとつながっていく。これを示しているのが『フランケンシュタイン』である。『フランケンシュタイン』は、ウォルポールやリーヴのように断片を再構成して完成品とせず、開かれた結末を付けているところにロマン主義的な斬新さがある。