帰ってきた『フランケンシュタイン』とメアリー・シェリーの変化
早稲田大学文学部英文学会教育学部英語英文学会2004年度合同大会(於早稲田大学)
最近の文学研究では初版本を用いて論ずることが主流だが、『フランケンシュタイン』は初版と改訂版の異動を研究することが作者の文学観の変遷を辿る上で重要だ。改訂版ではフランケンシュタインの結婚相手エリザベスが従兄妹から血のつながりのない娘へと変えられ、新たに追加された文章はこの作品をモラリスティックなものへと変える働きがある。ここには作者の文学観がロマン派的なものから離れ、保守化したという特徴が見られる。