『ヴァルペルガ』、マキァヴェッリ、ロマンス
日本シェリー研究センター第31回大会シェリー没後二百周年記念シンポージアム「『ここに私を生かし、死なせたまえ』――シェリー夫妻とイタリア」(於帝京大学)
マキァヴェッリがカストルッチョ・カストラカーニを理想的な英雄として「カストルッチョ・カストラカーニ伝」にまとめた一方、メアリ・シェリーはむしろその暴君としての側面を『ヴァルペルガ』に提示した。これまでの『ヴァルペルガ』論者の多くはそう捉えているが、そこで参照される『ヴァルペルガ』の序文やマキァヴェッリの著作の位置づけ、ロマンスや歴史記述の捉え方については相違もある。この矛盾を検証する。