齊藤美和編著『イギリスの詩を読む――ミューズの奏でる寓意・伝説・神話の世界』書評
日本英文学会『英文学研究』第100巻
大学における文学研究の立場、殊に英詩を研究・教授する場が狭窄している現況において、本書は現状を反映した新たな英詩入門としての意義を持つ。各章に配された詩人とテーマは、実際の学生からの反応を基に選択され、学生向けの課題も掲載されており、教員にも参考となる。ただし、多様な内容読解を重視するあまり、韻律の説明を省いた点は惜しい。易しく簡潔なものであっても、韻文表現自体の意義に関わる解説がほしいところである。
p. 85~p. 89.