女性化されるペルー――ウィリアムズの『ペルー』とコツェブーの『ペルーのスペイン人』
イギリス・ロマン派学会第44回全国大会(於兵庫県立大学)
ヘレン・マライア・ウィリアムズの長詩『ペルー』(1784)は南米原住民がスペイン軍に征服される悲劇を描く。ペルーは「ペルーヴィア」と女性擬人化され、残酷なスペイン軍という濃厚な男性原理と対立する巨大な女性原理として立ち現れる。被征服民やそれに味方するスペイン人聖職者は「ペルーヴィア」の女性的イメージに組み込まれている。さらに、このジェンダー観は18 世紀末にイギリスで人気を博したコツェブーの『ペルーのスペイン人』ともつながる。