本研究は，持久的運動を暑熱環境および常温環境で実施した際の電解質やミネラルと言った発汗成分を比較することを目的とした。8 名の男性に 55%VO 2 peak 強度負荷の 60 分間自転車運動を暑熱環境（ WBGT： 29.0 ± 0.2 ℃；以下 Heat ）と中性温環境（ WBGT ： 20.5 ± 0.2 ℃；以下 Con）の 2 条件で行わせた．その際に発汗量，深部体温，心拍数の測定を行うとともに，胸，背，大腿より汗を採取して検討した．深部体温および心拍数は Heat で有意に上昇し，発汗量も有意に増加した． 電解質濃度は Na で胸および背において Con よりも Heat で有意に高値となった．汗からの電解質損失量においては， Na および K は部位ごとの比較においても Heat で Con よりも有意に高い値が見られ， Cu においても 3 部位の合計損失量は Heat において Con よりも有意に高い値であった．また，Ca および Cu は部位間の濃度差が見られなかったが，損失量は優位な差が見られた．汗中電解質濃度に差が見られなかった K および Cu でも暑熱環境下で電解質損失量が増加すること，濃度に部位間の差が見られなかった Ca や Cu においても損失量に部位差が現れることが明らかとなった．
