本研究は,大学男子長距離走選手を対象に,試合期の 2 週間におけるトレーニング指標およびコンディション指標(走行距離,Session RPE:sRPE,VAS による運動の負担度・全般的な体調,睡眠時間),対象期間前後における酸化ストレス,対象期間中の 10000 m 走記録の関係について検討した.その結果,(1)1 週間あたりの sRPE(sRPE-TL)が高い選手ほど酸化ストレス度(d-ROMs)の変化率が高く,潜在的抗酸化能(BAP/d-ROMs)の変化率が低かった.(2)VAS による運動の負担度が高い選手ほど d-ROMs の変化率が高く,VAS による全般的な体調が悪い選手ほど d-ROMs の変化率が高かった.(3)d-ROMs が低い,BAP/d-ROMs が高い選手ほど 10000 m 走の%自己ベストが高かった.以上の結果から,試合期において,sRPE および VAS による評価は,酸化ストレスを反映し,コンディショニングに有用であることが示唆された.