日本の学生長距離選手を対象に、公式競技と多菌種乳酸菌発酵豆乳抽出物(LEX)の両方が腸内細菌叢に及ぼす影響を調査するためにオープンラベルパイロット試験を実施した。LEXを使用しない長距離レースの前後(前観察期)の糞便細菌叢を調査したところ、Firmicutes門の増加とBacteroidetes門の減少がみられた。しかし、LEX摂取者では、レース前後でこれらの菌叢に変化は見られなかった。LEX摂取前後での尿中代謝物の変化としては、酵母・真菌マーカー、神経伝達物質、TCAサイクルを含むミトコンドリア代謝物の有意な減少が見られた。尿中代謝物と糞便微生物叢の構成との間には、いくつかの相関関係が見られた。例えば、トリカルバリル酸のレベルは、Firmicutes門の構成比と正の相関があった(Pearsonのr = 0.66; p < 0.01)。また、Parabacteroides distasonisという細菌種は、いくつかの尿中代謝産物と中程度の相関があることがわかった。これらの知見は、持久系アスリートは1回の競技の後、腸内細菌叢が大きく変動すること、LEXの摂取は、消化管内の酵母や真菌の過繁殖を改善し、ミトコンドリアの代謝機能を向上させる可能性があることを示唆している。