本研究では、5000m走におけるステップの特性とレースタイムとの関係について検討した。日本人男性ランナー21名が出場した5000mレースを対象とした。高速度ビデオカメラを用いて、2サイクル(連続4歩の接地)の歩幅、歩数、接地時間、滞空時間を400m毎に測定した。また、体格の影響を最小限にするため、歩幅は身長で正規化した。各ラップのステップ特性に加えて、全ラップの平均値と前半から後半への変化率を算出した。平均ステップ頻度および身長で正規化したステップ長は、5000m走のタイムと有意な相関関係が認められた(それぞれr = -0.611, r = -0.575, p < 0.05)。接地時間および歩幅の変化率(%)は、5000m走のタイムと有意な相関が認められた(それぞれ、r = 0.514, r = -0.486, p < 0.05)。これらの結果から、長距離ランナーにおいては、身長を基準にした高い歩数頻度や歩幅に加え、レース中の歩幅の変化が小さいことが、優れたパフォーマンスを達成するための重要なステップ特性である可能性が示唆された。