学術論文

基本情報

氏名 杉田 正明
氏名(カナ) スギタ マサアキ
氏名(英語) SUGITA Masaaki

名称

10000 m レースにおける男子長距離走者の走動作タイプの変化について(査読付)

単著・共著の別

共著

発表年月

2023/03

発表雑誌又は発表学会等の名称

日本体育大学紀要52:1089–1101, 2023

概要

本研究の目的は,公式の10000 m走のレースにおける日本人男子長距離走選手の走動作タイプを対数ステップ長比および対数ステップ頻度比を用いて,レース前半と後半における走動作タイプの変化を明らかにすることである。2次元動作分析法を用いてビデオカメラを120 Hzに設定し一流男子選手18名と学生男子選手16名の走動作の分析を行った。また,タイプ分けにはward法を用いたクラスター分析により走動作のタイプを分類し,4150 m地点と8150 m地点での各走者の走法を比較した。
結果は以下のとおりである。
1)走動作のタイプは,ステップ長タイプ (SL),ステップ頻度タイプ (SF),中間タイプ (Mid) の3種類に分類された。
2)レースの進行に伴って走動作タイプが変化した走者(移行型)は20名,走動作タイプが変化しなかった走者(固定型)は14名であり,移行型の方が多かった。
3)SF-typeおよびMid-typeでは,対数SL比が小さく,対数SF比が大きかったが,Mid-typeでは対数SL比がSF-typeよりやや大きかった。一方,SL-typeでは対数SL比が大きく,対数SF比が小さかった。
4)レースで好記録を示した一流選手のうち10名がSF-typeまたはMid-typeからSL-typeへのタイプ移行型であるのに対し,学生選手16名のうち12名がSF-typeまたはMid-typeのタイプ固定型に属していた。
5)学生選手の多くは固定型に属しており,対数SL比は小さく,対数SF比は大きかった。また,レース後半においてステップ長の低下を十分に抑えることができなかったため,走速度の大きな低下を招いていた。したがって,学生選手にはステップ長を大きくできる(身長の1.11~1.13倍)走動作を身に付けることが薦められる。

共著者

黒﨑渥矢,阿江通良,新垣太世,沼津直樹,杉田正明

掲載ページ数

日本体育大学紀要52:1089–1101, 2023