新型コロナウイルス感染症の拡大が我が国におけるトップアスリートの精神的健康、心理的ストレス及びコミュニケーションに与える影響― 日本オリンピック委員会によるアスリート調査結果２

Journal of High Performance Sport (7)：13-22, 2021

「新型コロナウイルス感染症の影響に関する JOC アスリート調査結果 1」に続き、第 2 報として新型コロナウイルス感染症による自粛生活が、我が国のオリンピック強化指定選手の精神的健康に与える影響について検討する
ことを目的とした。具体的には、心理尺度を用いて精神的健康度やストレス反応の実態を明らかにしつつ、それを引き起こしていると思われるストレッサーについても検討を行った。さらに今後のより良い情報提供の在り方を探るため、緊急事態宣言発令中のコミュニケーションの実態についても調査を行った。
その結果、夏季競技アスリートのストレス反応は冬季競技アスリートに比較して有意に高く、また新型コロナウ
イルス感染症拡大に関連するストレッサーに対して強い脅威を感じていることが分かった。それにより精神的健康度の悪化が確認され、特に夏季競技アスリートでは、メンタルヘルス（K6）の得点が 13 点以上を示し、心理的苦痛を強く感じている可能性の高いアスリートの割合が 10％を超えていることが確認された。そこには東京 2020大会延期に伴う心理的影響のあることが推測された。

土屋 裕睦、秋葉 茂季、衣笠 泰介、杉田 正明

Journal of High Performance Sport (7)：13-22, 2021