1か月間の低用量の鉄サプリメント摂取が発汗を伴う運動習慣のある女性における主観的コンディションに及ぼす影響（査読付）

トレーニング科学VOL33(2):147-154

本研究は、発汗を伴う運動習慣のある女性を対象とし、日常的な低用量の鉄摂取が主観的コンディションに及ぼす影響を検討することを目的とした。対象者を無作為に摂取群およびプラセボ群の２群に割り付け、摂取群には1日3.6 mgの鉄を顆粒により1か月間摂取させ、プラセボ群にはプラセボ顆粒を摂取させた。介入前後で主観的な疲労感および睡眠の質に関する3つの項目を調査し、それぞれスコア化した。摂取群の疲労スコアは介入前（46±15）と比較し介入後（59±15）に有意な改善（p＜0.01）を認め、疲労感の軽減を示した。さらに、摂取群の睡眠スコアは介入前（59±16）と比較し介入後（68±17）に改善傾向（p＝0.066）を示した。このことから、3.6 mgの低用量の鉄サプリメントを日常的に摂取することで運動習慣のある女性の疲労感を軽減する可能性が示唆された。さらに、睡眠スコアの改善は日常的な鉄サプリメント摂取によって睡眠の質が高められ、疲労感の軽減を示唆するものと考えられる。

河村亜希、Mahendra P. Kapoor、杉田正明

トレーニング科学VOL33(2):147-154,2021.