本研究は,16 週間のトレーニング指標およびコンディション指標(走行距離,sRPE,VASによる運動の負担度・全般的な体調,睡眠時間)と競技記録の関係を明らかにすることを目的とした.
大学男子長距離選手 19 名(5000m 平均記録 14 分 55 秒 50±34 秒 37)を対象にした結果,
(1)16 週間の走行距離が多い選手ほど 5000m シーズン最高記録が良く,(2)VAS による運動の負担度が高い選手ほど対前年比が高かった.(3)中強度での走行時間が長い選手ほど対前年比が高い傾向であった.(4)睡眠時間(午睡時間を含む)が長い選手ほど対前年比が高かった.(5)sRPE が高い選手ほど VAS による全般的な体調が悪かった.(6)試合直前の sRPE-TL および VAS による運動の負担度が低い選手ほど競技記録が良い傾向にあった.
以上の結果から,大学長距離選手を対象にした場合,走行距離,中強度の走行時間,睡眠時間(午睡時間を含む)を確保することは競技記録に好影響を与える可能性があることや,長距離選手のトレーニング指標およびコンディション指標の両方のモニタリングは,試合期のテーパリングにも活用できることが示唆された.