登山医学で用いられていた SpO2/脈拍比を滞在期間や酸化ストレス指標とともに検討し,高地トレーニング時のコンディション評価に関わる知見を得ることを目的とした.日本人一流男子長距離走選手 9 名を対象に,22 日間の高地合宿中に実施した.起床時の項目として,SpO2,脈拍数,睡眠時間・状況,疲労感,前日の総走行距離,起床時第一尿から尿比重の測定を行った.2 ~ 3 日に 1 回の間隔で,酸化ストレス度,抗酸化力,CK の測定を実施した.合宿 7 日目に起床時の脈拍数は低下,SpO2/脈拍比は上昇した.脈拍数,SpO2/脈拍比と総走行距離との間には有意な正と負の相関関係が認められた.SpO2/脈拍比は,高地環境に適応を表す指標として有用であることが示唆された.